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蒼天航路、遂に最終回 vol.2 ★ならばよし! 董卓・呂布・陳宮・そして赤壁

soutenlast蒼天完結記念第2回です。

徒然と思い出を。

まずは今でも名台詞として語り草になっている

「ならばよし!」

たまに完璧すぎて嫌味だとか人間味が無い、とか言われることのある蒼天航路の曹操像ですが、いやもう僕としては、まぎれもなくこの蒼天曹操に魅せられて引っ張られてきたこの11年間でした。その最初の衝撃とも言えたのがこのシーン。若き北部尉曹操の覇気が溢れんばかりでした。最終回でこのセリフが、天に昇る穏やかな顔の老曹操の口から再び発せられたのは涙モノでしたねー…。

1、2巻で主人公曹操をしっかり描いたあと、3巻で満を持して登場した演義での主人公・劉備も良かった。前回書いたように、正史を知ってるものには「待ってました」の劉備像。まさに「こんな劉備を待っていた」。ここで関羽・張飛という演義の華も登場します。ホントに顔の赤い関羽と言うのも、ありそうでなかったというか、笑っちゃいました(笑)。曹操が主人公だからって、対立する劉備を安易に嫌な奴にしないのも良かったですね。

で、4巻から三国志のオープニングたる「黄巾の乱」が始まるわけですが、ここで関さん、黄巾の首領張角に、「後の世に神になる」と予言されます。この辺も、最終回にそれが実現することが描かれて非常に感慨深かったです。

そして蒼天航路最大の衝撃が「董卓」!!!

これはやられたーと思いました。あんな董卓思いつかん!!! そして蒼天の描き方の凄いところは、一見ぶっ飛んでるように見えて全くのあてずっぽうじゃなく、どこかしら史実や伝承からイマジネーションを膨らましているとこですよね。涼州を本拠地に異民族と密接な関係があった董卓。確かにあの中原風から離れたファッション風貌アリだ。(跳梁跋扈した変態・孔明の描写ですら、琅邪出身の于吉仙人と同郷である事や、薬物を駆使すると言う説を下敷きにしている…のかも知れない。)

そしてなにより、あんなにかっこいい董卓は初めてだった。悪を卑小な悪として描くのではなく、突き抜けた「」の塊として描く。ああいうキャラを生み出せるのは、GONTA先生を含めて数えるほどしかいないと思う。(同じように、「妖術使い孔明」を「妖術使い」のまま描いたのじゃないだろうか)

そして呂布陳宮の最期はもう鳥肌立ちまくりでしたね。全漫画通じて今でもベストシーンのうちの一つです。あそこが前半の山だった気がします。

蒼天の特筆すべきところは、もう一つ、魏の軍師達荀彧郭嘉程イク荀攸賈ク…に魅力的なキャラ付けをしたところでした。郭嘉の最期には泣いた荀彧も切なかった。また、曹操の息子を殺すほどの敵として登場したのに、曹操に下った後はどんどん愛すべきキャラになっていく賈クも、お気に入りでした。

魏の武将達も良かった。張遼は初登場の時からやった!!!と思いました。かっちょ良すぎ。徐晃も最後にいい役持っていきましたね。「決して引かない将」楽進のキャラ付けも素晴らしかった。張コウはできれば官渡の降伏のシーンも描いて欲しかった。于禁も曹操と会話してるシーンが欲しかったな。夏侯惇夏侯淵曹仁ら親族武将も良かった。特に夏侯惇。曹洪は割を食ったなあ(笑)。

そして変態妖術使い・孔明(笑)

さらに、読者賛否両論の(と言うより否の方が多い?)赤壁の戦い

僕は肯定派です。ラストの曹操の「くどい」がカタルシスあったんで。マジックキャンセラー曹操!!(笑) そう言えば青州黄巾軍の老人達の天遁の術も破ってたなー(笑)。

赤壁での孫呉の描写不足に関しても、あの戦いが孫呉にとってクライマックスではなくただの序章だと捉えると、赤壁後は孫呉を軸に話が転がり最終章に関してもまさに孫呉がキーを握っていた事を考えても、収まりよく解釈できると思います。(孫堅孫策の天命が孫権に受け継がれ、周瑜の戦略が呂蒙と「八頭の獣」に引き継がれた。ってか、魏将の復権だけじゃなく、呉将に関してもこれだけ魅力的に描かれた作品を他に知らんよ・゚・(ノД`)・゚・。) また、孔明に関してはこの赤壁での屈辱が曹操ストーカーと化す後の孔明への理由となり、これも最終章での孔明の描写につながり、僕としては非常に満足が行きました。

赤壁後は曹操の政治改革をキーにして話が動いていきました。特に対・儒教。これが今までの三国志を越えてすんごく面白かった点の一つ。神医・華佗の処刑の理由に加え荀彧との悲しい別れに繋がるこのシークエンスは、蒼天曹操の人生のテーマにも繋がり、もっとも読み応えのある部分でした。この、「曹操が曹操である理由」が反曹操の旗手たる劉備を生み、それがクライマックスへと繋がっていく流れは本当に見事。

それに関してちょっと、以前コミックバトンの時に書いた記事を再掲します。長いけど。

★★★

連載開始時の10年前、初めてこの漫画を知った時僕は、「曹操を主人公にした漫画か。若い時ののし上がりっぷりは確かにかっこいいけど、ラストがしょぼくなるんじゃないかなあ」と危惧していました。なぜなら曹操は劉邦のように天下統一を果たせたわけでもなく、また、かと言って信長のように、「本能寺の変」のような華のある最期を迎えているわけでもない。竜馬のように暗殺されたわけでもない。天下の3分の2を統一しつつの畳の上での死、しかも死の直前の最後の二つの出兵は、大勝でも大敗でもない、「引き分け撤退」という地味さです。エンターテイメントとしては実に料理しにくい晩年。それをまさか、こんな視点で盛り上げてくるとは。 

まず蒼天航路では、後半、曹操の「反儒教」「唯才政策」の改革姿勢が大きな意味を持って描かれています。が、改革に伴うのはいつの世も「反動」。既成価値観の担い手である儒者と改革の風雲児曹操は対立し、そんな中、曹操は、腹心の荀彧とも悲しい決別を経験してしまうことになります。位の上昇とは裏腹に、孤独を深めていく曹操。そんな時、「反曹」のムーブメントは、曹操への復讐に燃える諸葛孔明の策に乗って遂に形となって顕われます。劉備の漢中制圧・そして漢中王宣言です。「漢中王」とは、その昔「漢」の国を作った高祖・劉邦が、最初に封じられた王位のこと。そもそも「漢」という国名は、この辺境の地・「漢中」から来ているのです。(「漢民族」、「漢字」、元をたどれば全てここから来ている事になります。)本拠地の「蜀」の王ではなくあえて「漢中王」を名乗ることによって、民草は劉備に高祖・劉邦の像を重ね、反曹勢力の希望は一気に劉備の下に集まってしまう、と言うわけです。漢中王宣言の持つ重大な意味を大きくクローズアップし、それに呼応した都や各地の反曹勢力の蜂起を描き、それを関羽北上の流れへ繋げる。この盛り上げ方、史実を知っていても緊迫感があり、「もしや曹操が負けるのではないか?」と思わせてくれました。 これからいよいよ関羽の死そして曹操の死です。最高のラスト、最高のまとめ方になりそうです。毎週興奮。

★★★

そして先日。

遂に蒼天航路は最終回を迎えたわけです。

vol.3に続く。

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