最近古代地中海世界の歴史にはまってます
きっかけは、岩明均先生の「ヒストリエ」。ギリシア・マケドニアの英雄アレクサンドロス大王の書記官・エウメネスが主人公の物語ですが、まったくそんな事知らなくても読めます。感動します!!泣くよ!! むしろ今のところ年表的な歴史的事実との関係は希薄で、3巻現在、まだアレクサンドロスすら影も形も出てきてません(笑)。 いや、もしかしたら一番最初に街を攻めていた若き武将がアレクサンドロスの可能性もあるかな? その直後長きに渡る回想シークエンスに突入したので、それはまだわかんない。後のディアドコイ(後継者戦争)での重要人物・アンティゴノスは出てきてますが・・・
アレクサンドロス題材だと、阿刀田高先生の小説・「獅子王アレクサンドロス」がかっこよくて燃えてお勧めです。アレクサンドロスと、その友人にして幕僚のヘパイスティオン、セレウコス、プトレマイオスや老将パルメニオンらとの関係は、銀英伝ファンなら、ラインハルトとキルヒアイス、ミッターマイヤー、ロイエンタール、或いはメルカッツなどの関係を思い出し、ふつふつと燃え立つものを覚えるでしょう。蒼天ファンなら曹操と魏武将たちを思い浮かべてください。また、「征服者」と言うより「冒険家」なんだな、と言うのもこれでイメージつきました。
もう一つ、アレクサンドロスはあの、ガンダムの安彦良和先生も描いておられます。「アレクサンドロス~世界帝国への夢~」。
ガンダム・ジ・オリジンが今めちゃくちゃ面白いのがきっかけで、最近安彦先生の漫画を探して読み漁ってるんですが、アレクサンドロスも描かれてたとは思わなかった。
解釈は安彦先生らしいと言うか、アレクサンドロスを少し情緒不安定な夢見る危うい少年として描いていて、蒼天曹操のような悪をも鉄の意思で遂行する英雄、巨人としての描き方じゃなかったですね。中盤ちょっと「そんなにネガティブに捉えなくても…」とも思ったんですけど、その辺、超人思想をしない「健全な良識人」感覚を持つ安彦先生らしいかなと。繊細で危うい感じが、それはそれでまた好きな感じなんで味わい深かったです。天才とは容量自体の大きい者ではなく、例えるなら傾けたコップの水、と言う説に僕も賛同する者ですが(そしてそういう人間にたまらなく魅力を感じる者ですが)、その感じが出てるのは良かった。(銀英伝のラインハルトもそうですもんね。) 前半ちょっと読みにくかったんですけど、中盤からどんどん入り込んで来れて、最後はかなり感動してしまった。 短いながら切なさもロマンもあるし、これ、僕はかなり好きですね。
それにしても、いやー安彦先生の絵でアレクサンドロスが読めたのは幸せだった。贅沢言えば、1冊で駆け足でやるんじゃなく、4冊くらいでゆっくりと読みたかった。それだけが残念。 でも変なはしょり方してるんじゃなく、ちゃんと一通りアレクサンドロスの人生が追えます。あ、ヒストリエの主人公エウメネスも、2・3コマだけ出てきてました(笑)。
ギリシアの最盛期を過ぎると、時代はローマ。
塩野七生先生の「ローマ人の物語」面白いですね~。文庫化を機に、ついに手を出しました。現在23巻。ユリウス・クラウディウス朝崩壊後の混乱がようやく収まり、五賢帝時代が始まるか、と言うところ。続刊が待たれます。
カエサル・クレオパトラ・アウグストゥス・ティベリウス・そして同時代に現れる「キリスト」…の流れは、そう言えば昔からちょっと興味あって、高校時代とか大河漫画に描こうとしてプロットとか立ててた事あります。(こういう壮大な事ばっかやりたがるから連載取るのに苦労するんですが・・・(笑)) そう言えば昔読んだ、カエサル対ヴェルキンゲトリクスを題材にした「ローマに挑むケルトの若き狼・ガリア戦記」って小説のイラストも安彦先生が描いてたなあ・・・。
カエサルは多才の人で、政戦両略の天才の上に史上まれに見る革命家、その上文学史上の巨人でもあると言う、どうやら蒼天曹操にかなりタイプの似た英雄のようです。女ったらしで人妻好きのところも似てる(笑)。帝政(あるいは簒奪)への道を開きながら自らは帝位に付くことはなく、後継者が初代皇帝になるところも似ている。(もっともローマ皇帝と中華皇帝とは権威も権限もまったく違いますが。)
また、カエサルの子カエサリオンを生むエジプト最後の女王クレオパトラ7世は、上記のアレクサンドロスの武将、プトレマイオスの子孫なんですよねー(プトレマイオス朝エジプト)。こういう因縁の絡み合い、たくさんの人間の、何世代・多民族に渡る壮大なドラマが歴史ものの醍醐味。
いつか蒼天航路みたいに、こういう魅力を出せた作品を描ければいいんだけど。
ちなみに、補足トリビア。「イスカンダル」とは、「アレクサンドロス」のアラビア語・ペルシア語名。
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この記事へのコメントは終了しました。
コメント
ヒストリエ、読みました!
これは、続きが早く読みたくなるのに、アフタヌーン?!月刊じゃん!うへー
カロンが港で叫ぶ場面、熱いものがありました~
投稿: かんた | 2005年12月17日 (土) 10時47分
甘い!(笑)
月刊で毎回着実に載っててくれればまだいいんだけど、
休載の嵐だぞ!! __| ̄|○ガックリ
よくもォ!
よくも休載したなアアアア!
…って叫びたくなる事請け合い。
アララララーイ。
てなわけで、腹をくくって腰を据えて待つしかないと思います(笑)。
ガンダム好きでヒストリエも読んでくれたかんちゃんになら、安彦先生のアレクサンドロスもお勧めできます。機会があったら是非。
投稿: TAK@森田 | 2005年12月17日 (土) 11時10分
なぬーっ
休載じゃとー orz
たのむ。40歳になる前には、ちゃんと連載終わっててくれ(笑
ガンダムネタで。これ、すごいね。ガンダム漫画の初期の過ち。
http://kor-kobo.web.infoseek.co.jp/URA_UHEEI/GUNDAM/GUN_00.html
投稿: かんた | 2005年12月18日 (日) 15時59分
知ってる知ってる!見た見た。
でもね、その話題・・・今は人事じゃないのだよ(コッソリ)。
まだヒミツですが、近々お知らせします。ホエホエ。
投稿: TAK@森田 | 2005年12月18日 (日) 16時50分