またまた漫画月旦
頑張って読んでます。今回は「皇国の守護者」3、4巻、「最強伝説黒沢」10、11巻(完結)、「のだめカンタービレ」1、2巻、「20世紀少年」22巻、「ZOO KEEPER」1巻、「ハルノクニ」1~3巻。
●「皇国の守護者」 3、4巻 (佐藤大輔先生 伊藤悠先生)
ハードルが高いので万人にお勧め、とはやはり言えないんですが、自分としてはもう完璧に楽しんでます。ここ最近怒涛のように読んだものの中では、好みを含めると、義務感を越えて純粋に先が楽しみになった1番の漫画かな。
主人公の骨っぽさに惚れてます。芯から強いのではなく、恐怖や弱さを噛み殺す骨っぽさに。部下に見せる外面と内面描写のギャップが面白いです。
今回の巻は敵〈帝国〉軍のキャラ描写も増えてきました。また、友軍側においては「お、こいつメインキャラになって絡んでいくのかな…?」と思った奴があっさり死ぬのが、容赦なく冷酷な戦場の味を出してていい。脇キャラが育たないので漫画としては危ない橋だけど、でもそのおかげでドラマが必ず主人公と言う人間を描くための物になってるので、これが漫画としてもよく働いてるような気もする。製作サイド側にとっては、これも確信犯なのだろうか。
●「最強伝説黒沢」10、11巻(完結) (福本伸行先生)
ええーっ、こんな終わり方ですか! 最近の福本先生の漫画では一番旬な作品だと思ってたのに!! ここ数巻は毎回ゲラゲラ笑いながら、そして結構燃えながら読んでたのに。
終わり方、いや、これでいいのですが、ただ、終わったことが残念です。もっと読んでいたかった。
最強伝説の完結に、合掌。
●「のだめカンタービレ」1、2巻 (二ノ宮知子先生)
ドラマ化で大ヒットなのと、J機関の両先生のオススメで購入。店頭で眼を引くので、気にはなってた。1巻の表紙だけで、キャラが立ってるのがわかるんですもん。(´з`)←この口がいい。とりあえず2巻まで読了。あっという間に。
キャラが立ちまくってるから、スルスル読めます。これがメジャーになる漫画というものか。やはりキャラだキャラ。あと、主人公はのだめってより男の方ですね。これがかなり鼻っ柱強くて好きなタイプなんでガンガン感情移入できて、少女漫画が苦手な僕でもまったく普通に面白く読めます。つーか下手な少年漫画よりも全然燃えるぜ。…留学への障害が飛行機恐怖症、と言うのはもうちょっと何とかならんかったかとは思うが…(笑)。のちのちフォローがあるのかな?
しかし「のだめ」を実写で演じるのはとんでもなく難しそうですね。普通に考えたら、寒くなる危険大と思いますもん。ドラマの子、かなり頑張ってると思う。
●「20世紀少年」22巻 (浦沢直樹先生)
個人的には「MONSTER」より好きだったのだが、ここ数巻面白さがわからなくなってきた… あと、正直「音楽が世界を救う」ってわからないです。「コロッケ」とか「家に帰ろう」、って歌の歌詞の良さもちょっと…。「永遠の子供の遊び否定」も何が言いたいんだかイマイチぴんと来ない。子供の遊びを夢に昇華して実現していった人間が、飛行機なりロボットなり宇宙開発なり、いろいろなものを作り出していったと思うので。基本的に「ヒトの業」って物に対してネガティブなんだよな…。
●「ZOO KEEPER」1巻 (青木幸子先生)
僕はイブニング購読者なんですが、前々から気になってた作品です。ズゥキーパー、つまり動物園の飼育員の話です。漫画的ギミックとして、主人公の女の子には、「温度を見分ける眼」と言う特殊能力があります。飼育員としては新米ですが、この眼で動物の体調の変化に気づいたり、行方不明になった動物を見つけるなどの活躍をしていきます。
この漫画で気に入っているのは、「動物園は人を呼ばなきゃいけない」というシビアさにちゃんと眼を向けている事。「見世物にするために動物を集めてる」と言う人間の業、エゴをちゃんと正面から受け止めているところですね。これは各エピソードで何度も描かれます。あるエピソードなんか、弱った動物の命より、客の満足を優先させる事とその意義をちゃんと正面から描いている。(これはまだ1巻に収録されてないけど。) 「命が一番大事」という、誰も反論できない奇麗事で思考停止しないで、ちゃんとシビアな現実とそれをする意義まで踏み込んでいるのです。
人間と動物のかかわり、と言う事に関しては、僕はペットも含めて、所詮人間の都合で成り立ってるものと思ってます。だから、あまり動物愛護論者のような物言いは、しようとは思いません。所詮人間の勝手。でもその中で心を痛めたり、考えたりする事は意義があることだと思います。「心に余裕(ヒマ)のある生物! なんて素晴らしい!」(byミギー@寄生獣)
この漫画に限らず、奇麗事で思考停止しないでその先の現実に踏み込んでいる作品、一般の価値観に疑問や爆弾を投げかける作品が好きですね。「デスノート」や「アクメツ」や「女王の教室」がその顕著な例ですが。
●「ハルノクニ」1~3巻 (浜中明先生 中道裕大先生)
ええッ!! 今のサンデーってこんなのOKなの!? 僕のサンデーでの新人時代には(まあ今もロートル新人ってとこだが) 考えられないッ!!! 羨ましい!!! なんと、高校生が学校を占拠して国に戦いを挑むという、僕の知ってるサンデー編集部じゃ考えられない、挑戦的な話。しかもカーボン・ナノ・チューブを利用したネコ型新兵器「ハル」をめぐったバリバリのSFでもあります。ああっ!!! 羨ましいッッッ!!! 僕のデビュー作もバリバリのSFなのに、なんでこういう話を振ってくれなかった!? 時代も変ったなー。
作画の中道先生は、たしか受賞作かなんかのカットを見かけて、それがセンスあって印象に残ってたので、田辺イエロウ先生とともに名前が記憶に残ってました。やはりそういう人は、ちゃんと「出てくる」ものだなあ。あっという間で、羨ましい。コマ割りのアップと引きとメリハリなんかは、「結界師」より読んでて僕の好みにピンときます。読みやすいです。絵自体も、1巻ではまだ大味なんですが、どんどん上手くなって3巻あたりでは微妙な表情も魅力的に描け出してもうかなりいい感じ。やっぱり週刊で3冊も描くと、圧倒的に成長しますね…。絵柄も今風でセンスあるので、もっともっと「行く」人だと思います。
お話。話自体は、とにかく僕からするとこういうのがサンデー編集部でGOサイン出たことがとにかくびっくり。…ただ、読んでみるとわりと明るくいい子なキャラクターで、らしいと言えばらしいですね。でも主人公の性格は骨があって、バカでもなくて、結構好きです。
問題は根幹の設定、主人公が暴挙に出た訳、敵の陰謀なんですが、これが肩透かしだった。1巻の間は謎にして引っ張っていたんでドキドキして読めたんですが、2巻のアタマでその秘密が明らかに。そこがあまりにも薄っぺらくて、一気に萎えました。
「政府」「軍事」を、ハナっから「悪」と決め付けている。上の「ZOO KEEPER」と真逆で、「そこで思考停止してんじゃねーよ!!!」って感じですね。いつの時代の漫画だ。国のトップのマキャベリズムで秘密に近づいた一少年が犠牲になり、それによってまわりの人間が国家への反逆に手を染めるところなんかは「亡国のイージス」と同じなんですが、あっちは少なくとも前半は、その「どうにもならない事」をきっちり描き、「国」側の人間も人間として描き、思考的緊張感があった。が、こっちは主人公側が正義で、政府・軍事兵器が悪、それも薄っぺらーーーい悪、と言う構図が決まりきってて、根幹の問題にまるで緊張感がないです。同じ少年誌といっても「デスノート」は思想的緊張感があったがなあ。なんやかんや言ってジャンプはやはり凄いと言う事か。(チャンピオン「アクメツ」は置いといても(笑)。) 最初はびっくりしたものの、これがサンデーの限界か…。そこに正面からぶつかれないなら、国家への反逆って設定で描く意味、ないよ。
とは言え、この2巻アタマのガッカリ感を超えると、わりとどんどん良くなっていきます。ハルの成長はかわいくていい感じだし、機械が人間の感情を覚えていくと言うのも、ベタだけどやはりいい。ネコかわいいし(笑)。そしてキャラクター同士の人間ドラマも、なかなかハッとする見開きを使ったり、いいエピソードを持ってきたり、主人公の両親の気持ちを表せていたりと深みを増していきます。作家の方に、可能性を感じます。これは先に行けばいく程よくなるか…? 文句もいろいろ書いたけど、サンデーで一番行く末が気になるのはこの漫画です。しばらく遠ざかってたけど、これを見たさにまたサンデー買いはじめよっかな。
と思ったら、「4巻で大団円!」だとーーーー!?
打ち切りか? やっぱり人気は取れなかったのか? やっぱり俺サンデー読者と合わないのか? うーん、ダメポ…
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コメント
『黒沢』は、唐突な連載終了に一時騒然となったようですね。
投稿: ギムG | 2006年12月 7日 (木) 15時59分
あ、ようやく書き込めた(^^;
投稿: ギムG | 2006年12月 7日 (木) 16時00分
なんかココログが長時間メンテだったらしくて…(^^;)
投稿: TAK@森田 | 2006年12月 8日 (金) 05時46分
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投稿: バッグ,財布&小物専門店 | 2021年12月 7日 (火) 09時50分