NHKドラマ「坂の上の雲」
頼むからまともなもの作ってくださいよNHK。
↑のような記事もあってやな感じ。まあゲンダイネットの言う事だから…という気もするが、今回は内容的にはまっとうな事言ってる気も。少なくとも中途半端な予算じゃ日本海海戦なんかしょぼい映像しか作れっこないんじゃなかろうか。(と言うか期待する方が間違ってる?) でも一応欠かさず受信料払ってる身だから、これくらいは言いたくなる。「坂の上の雲」には思い入れもあるし。
「男たちのYAMATO」や「硫黄島からの手紙」もいいけど、荒波を切り抜けて勝ち残った時代だってあったのだ。大和よりも三笠、46センチ砲より東郷ターンですよ(笑)。反省も大事だけど、「ダメだダメだ」だけじゃ何も生まないと思うの。うちらの世代はその刷り込み教育が酷すぎましたけどね。てなわけで、このあたりの時代も凄い映像で見てみたいもんです。うまくやったらラスト盛り上がると思うなあ。
とは言えドラマとして作りにくそうだなあと思うのは、この話、司馬遼太郎先生の原作はキャラ主体で作られていないこと。「竜馬がゆく」や「燃えよ剣」などはそのまま話なぞっても面白いと思うけど、「翔ぶが如く」などの後期の司馬先生の作品はかなり「歴史随筆」成分が濃厚で、ドラマとしてまんまやるのは難しいと思うんですよね。かと言っていわゆる「司馬成分」が抜けて全くのオリジナルになっちゃってもどうかと思うし…。
この作品も、どの紹介見ても「主人公は秋山好古、秋山真之、正岡子規の三人」と書いてあるが、正直言ってこの3人は、導入部に過ぎないと思う。時勢風雲急を告げて話が面白くなってくる頃には、子規は死んじゃってるし、好古・真之兄弟も日本と言うタペストリーを織り成す一要素になってしまっているしで、このキャラを通して話を味わう事は難しい。むしろ203高地での乃木・伊地知や児玉源太郎の方が、キャラのドラマが話そのものの行方に直結していて面白い。
結局主人公は「日本」、と言うしかない物語なので、人間ドラマとしては非常に作り方が難しいと思う。うまいことやってくれたらいいけど。
あと、映像と演出。こう、メリハリ付けたぐりんぐりんかっちょいいカメラワークに出来んものでしょうか。大河ドラマ見てるとノリがまったりしすぎて眠くなるんすよね…。
最近職場で見た「大奥」(主演・松下由樹さんの、春日局のやつ)が、かなりしまりのあるシナリオと演出でぐっと引き込まれて面白かった。民放だけど。このくらいの緊張感あるノリで「坂の上の雲」作ってくれたら、俺なんか大喜びなんですが。
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コメント
どうも、こちらでは初めまして。
歴史映画もののネタは専門分野なので、ついつい反応を(笑)。
「坂の上の雲」、期待したいところではあるのですが、発表から時間が経ち、一度流れかけたこともあり、正直なところ不安材料のほうが多いです。やるなら100周年の2年前がヤマだったわけで。
それと歴史映画・戦争映画マニアの立場から言うと日露ネタは「今さら?」という気もあるんですね。「坂の上の雲」を原作にしていないだけで、東宝の「日本海大海戦」、東映の「二百三高地」がすでにあって、陸海とも映像としては最高レベルのものをもう作っちゃってる、ともいえるのです。あれを見てしまった映画マニアからするとよほどのものを作らないと見劣りしてしまうはず。
その意味でも予算的に厳しいなぁ、とも思うんですね。どうせなら予算ケチってもいいから通常大河枠にしておきゃよかったのに、と。NHKも「司馬ブランド」に頼りすぎという面もあります。
ま、そうは言いつつ歴史映像もののネタが増えること自体はマニアとしては歓迎してますが(笑)。
投稿: 徹夜城 | 2007年1月25日 (木) 21時15分
いらっしゃいませー。こちらでは初めまして!
お世話になっております。
>発表から時間が経ち、一度流れかけたこともあり、正直なところ不安材料のほうが多いです。
まったくその通りですね。正直「やってたの?」と言う印象。
>東宝の「日本海大海戦」、東映の「二百三高地」がすでにあって
確かにその通りなんですけど、やはりそれは歴史ファン映画ファンの感覚、と言う部分はあると思いまして。正直今現在の一般レベルの感覚だと、昔日本とロシアが戦ってて、しかも勝っている、と言う事もピンと来る人少ないかと思います。「今作る」事に意義があるかと。あと、僕はわりとCG肯定派なのですよ。だから今のCG技術で映像作る事は意義があると思っています。ただし、ハリウッド級の凄い奴なら、と言う事ですけど(笑)。
…日本だとローレライもイージスも微妙だったしなあ。ましてやNHKだしなあ。予算もどんどん少なくなってるしなあ。
…やっぱどう考えてもしょぼそう。結局徹夜城さんの意見に同意するしかない(笑)。
>その意味でも予算的に厳しいなぁ、とも思うんですね。どうせなら予算ケチってもいいから通常大河枠にしておきゃよかったのに、と。
ああ、逆にその通りかもしれませんね。普通に大河でやる、と言う事なら、ちょっと目新しいし意義があったかも。あの変則的な放送方法と微妙な話数で、視聴者の興味を引きつけておけるのか。なんかすべてにおいて中途半端な感じです。
ところで。
徹夜城さんとこの時期を話すのならば、ルパンの事は避けて通れますまい。ルパンの時代と見事に同時期なんですよね。当時ヨーロッパでロシア革命支援工作を手がけていたと言う、謀略将校明石元二郎。若き日のルパンは彼とすれ違ったりはしなかっただろうか? 日本びいきの所もあるルパンは明石に協力したりしなかったか? はたまた自身もロシア公爵に変装したり、後にソニア等のロシア女性とも関わるルパンは、むしろロシアびいきで、明石とは敵対する立場に回っただろうか? 妄想はつきません(笑)。
「坂の上の曇」って日本側も面白いですけど、バルチック艦隊の大航海など、ロシア側の描写も面白いんですよね。この戦争の敗北が遠因で帝政ロシアは崩壊していくわけで、それがパリの亡命ロシア貴族の増加に繋がり、ルパン譚にも関係してくると言う、まあ日本のルパンファンにとってはそういう意味でも感慨深いものがあります。
投稿: TAK@森田 | 2007年1月26日 (金) 03時15分
そうですね、ルパン譚が初めて書かれたのが日露戦争終結の年でもあり、いろいろな意味で「日本」がヨーロッパで意識された時期にあたります。ルパンシリーズにもそこかしこに日本ネタが出てきますし。
もっともルブラン自身が日本について特に詳しくなかったせいもあるのか、とくに「日本」について突っ込んだ記述はないのですよね。むしろ当時のフランスに濃厚にあったロシア関連の話題のほうが多い。
日露戦争とルパンの絡みは僕も妄想しなくもなかったのですが、ソニアが革命党員の娘(小説版のみみたいですが)であることから考えると案外革命側についたかもしれません(笑)。
明石元二郎の活動はたぶんにルパン的かもしれませんねー。
映画「日本海大海戦」では明石役が仲代達矢で、なんだか「007」風味で微笑ましい(笑)のですが、ルパン的といえなくもないか。
なお、その仲代達矢氏は舞台「ルパン」でルブランを演じたことがあるそうで…(笑)
投稿: 徹夜城 | 2007年1月26日 (金) 23時39分
>いろいろな意味で「日本」がヨーロッパで意識された時期にあたります。
有名なルパンの得意技「ウディンギ」をはじめとする(笑)「柔道」とともにあの時期のヨーロッパでのジャポニズムムーブメントになったものと言えば、パリ万博での「マダム貞奴」人気と、あと浮世絵ブームでしょうか。
浮世絵ブームは印象派の誕生に繋がるわけですが、そう言えば印象派の巨匠・モネはエトルタを舞台にした絵もたくさん描いてますよね。「エトルタの海岸」とか、そのものズバリ「エギュイユの岩とアヴァルの断崖」「エギュイユの岩とアヴァルの門」なんてのもあったりして、見たときは結構びっくりしました。「エトルタの朝」も「エトルタ 日没」もまんま「奇岩城」やん!と(笑)。ルパンは(当時の)現代美術にはあまり興味がなかったのかな。このあたりに手を出した形跡はありませんよね?
>もっともルブラン自身が日本について特に詳しくなかったせいもあるのか
ですね。訳者の保篠龍緒との関係も密接だったらしいし、日本に好意的ではあったのはわかるんですけど。折角だから浮世絵くらいは盗んで欲しかった気がします(笑)。
芦辺拓先生のパスティーシュ「真説・ルパン対ホームズ」にはマダム・貞奴とルパンとのちょっとしたロマンスがあったりしてニヤリとさせられましたが。
>ソニアが革命党員の娘(小説版のみみたいですが)
そっか!そう言えばそうでしたねえ。「血の日曜日」が日露戦争終結と同じ1905年で、ルパンがソニアと出会ったのは1907~1909年くらい?
ルパンって、貴族からも盗むけど、どちらかと言うと悪徳資本家に厳しい気がします。(時代背景的に、一般感覚としてそうだったんでしょうけど。) でも単に労働者階級の味方、と考えるには、ルパンはあまりに貴族的ですよね(笑)。堂々とジャイアニズム宣言する男だし、共産主義ではあり得ませんよねえ(笑)。
「坂の上の雲」、3年かけて3部構成(全13話)との事ですが、ならいっそそれぞれの部のテーマを明確にして、主人公も部ごとに違うくらいの気持ちで
第1部 好古・真之・子規立志編 (日清戦争と子規の死まで)
第2部 日露陸戦編 (黄海海戦から始めて203高地と奉天会戦。乃木と児玉主人公で、ラストに多少色付けて好古大活躍)
第3部 日露海戦編 (明石元二郎の活躍、ロ提督のバルチック艦隊大航海、日本海海戦でエンディング)
みたいに分けちゃうくらいの方がいいと思うんですよね。多少時系列は前後させても、因果関係がわかり易くなるように。「その時歴史が動いた」方式です。公式見てると「少年編」「青年編」「壮年編」って書いてあるけど、好古・真之視点の時系列順にこだわりすぎると、逆にだらだらとわかりにくくなる気がするんだよなあ…。
>なお、その仲代達矢氏は舞台「ルパン」でルブランを演じたことがあるそうで…(笑)
こっ、これはびっくりです(笑)。
投稿: TAK@森田 | 2007年1月27日 (土) 21時23分
東宝の映画 宮崎吾朗樣(宮崎駿樣)ゲド戦記->Next month (2/14)
will publish at Taiwan. I will see that.
http://www.ghibli.jp/25trailer/
投稿: HongDa | 2007年1月31日 (水) 10時37分
The evaluation of Japan's ゲド戦記 seems to be slight.(^^;
投稿: TAK@森田 | 2007年2月 2日 (金) 16時17分
突然恐れ入ります。自分も裁判員ミステリを手がけたものとして、スペリオールの連載には注目していたものですが、まさかこちらで拙作のタイトルに接しようとは……びっくりしました。
そこへもってきて、お話し相手の徹夜城さんのサイトも以前よく拝見しており、特にかなり以前から書きかけたままになっている中国・明朝英雄ものの構想時にはしじゅうアクセスしていたものでした。
ああ、びっくりした。唐突にお邪魔して申し訳ありませんでした。ますますのご健筆をお祈りしております。
投稿: 芦辺 拓 | 2009年2月18日 (水) 06時39分
芦辺拓先生>
うわっ! 初めまして!
書き込みありがとうございます!!
折角書き込んでくださったのに、
てんぱってて偉くレス遅くなってしまいました。
「真説ルパン対ホームズ」、楽しませていただきました!
アルセーヌ・ルパンファン、ホームズファン、そして歴史ファンとしてニヤリとするところ満載で、非常に楽しませていただきました。贅沢を言えば、短編じゃなくて、1冊で読みたかったです。あと、エルロック・ショルメスも出して欲しかったりして…(笑)。
ルパンもいつか、歴史的背景も押さえて完全漫画化してみたいんですよねー…。でも、描かせてくれる出版社、そして読者はいるのでしょうか…。
芦辺先生の「裁判員法廷」、早速アマゾンで取り寄せました! 忙しくてまだ読めていないんですけど、必ず読ませていただいて、参考にさせていただきます!
レス遅くなっちゃって、大変失礼致しました。
今後とも「ジキルとハイドと裁判員」、注目していてくださると嬉しいです!
投稿: TAK@森田 | 2009年5月12日 (火) 05時56分