「ジキルとハイドと裁判員」1巻発売!!!
さて、今更ですが、去る4月30日、
「ジキルとハイドと裁判員」単行本1巻発売!!!
しました!!!
ボクは裁判員をだます!
若き法の守護人は、正義のため、法を裏切り飛び立った。
[漫画] 森田崇
[脚本] 北原雅紀
[法律監修] 弁護士・今井秀智
ひゃー、やっと宣伝できた。
発売して二週間も経っちまったよ。ガーン。
さて、改めて。
ようやくと言うか、早くもと言うか、ジキル、単行本1巻分たまりました。
いやーもう、楽しんでいただけてるのかどうか不安で不安で(笑)。今まで僕を応援してくださってくれていた方たち、SF・歴史・バトル漫画系統の僕の絵柄や演出を気に行ってくださってた方たちが興味を持ってくれるかどうか、逆に、この題材を好む方たちが僕の作風を受け入れてくれるのかどうか、と(笑)。
いや、自分では企画を戴いたときからピンと来るものがあったから、合ってないとは思ってないんですけどね。例えば僕が大好きな「銀河英雄伝説」などともテーマ的に通じる部分があると思いますし、巷では「ジョジョの奇妙な逆転裁判」(笑)とかも言われてるようで、そっち系統のファンにも親和性高いと思いますし(笑)。某ノートとは似すぎないように似すぎないようにとは思っているものの、僕もあの作品大好きなんで(笑)、そちら系が好きな方たちにも気に入ってもらえると思うんだけどな。
また、師匠たちの「アクメツ」がSF「政治」ヒーロー漫画なら、こっちはSF「司法」ヒーロー漫画じゃ、と言う意識もあったりなかったりしております(笑)。…だけど、どうもスペリオールの読者の方たちは僕が思っていたよりずっとマジメな大人の方たちのようで、最初はなんじゃこりゃ、と思われたかも(苦笑)。えーい、若い人、応援してくれ!!(笑)
★★★
ちょっとまじめな話。
この漫画は、言うまでもなく、裁判員制度と言う、日本人が、これから否応なく関わらざるを得ないシステムが舞台です。(市民が関わり合いになるのは、裁判員になるかどうかだけじゃないです。司法のシステムが大きく変わることによって、犯罪被害者になった時にも、また、容疑者となってしまった時にも関わってくることだと思います。)
この漫画を読んで、「政治」だけじゃなく、「司法」にも興味を持ってくださればなと思います。法律監修の今井先生にお世話になりながら、僕も一緒に勉強です。
裁判員制度の意義。以下は漫画の中で触れられるかどうかわかりませんが、歴史好きの自分の観点からすると、こうなります。
古来「王」が独占していた権力ですが、近代になって市民が主権者となり、権力の集中を避けるために、それを三つに分離しました(三権分立)。すなわち、司法・立法・行政(裁判所・国会・内閣)です。
この3つは違う機関であり、お互いに監視しあってます。この3つの権力が、ひとりの人物なりひとつの機関なりに集中すると化学変化が起こり、再び独裁体制になってしまいます。(独裁=悪、かどうかは、これまた簡単な問題ではないんですが。これもジキルのテーマにも通じますね)
この三権の中で、立法・行政に関しては、一応選挙と言う形で、関節的に、主権者である市民が関わっていくことができます。(あくまで主権者は市民であって、一応建前上は、政治家たちは、市民から主権を委託された代理者と言う事になります。
なのにこの中で「司法」だけ、やけに市民が関わる機会が薄いな、というのは、なんとなく昔から気になってはいました。
そういう意味では、今回の司法改革は、僕は実は精神としては、初めて聞いた時、それほど違和感はありませんでした。そりゃめんどくせーけど、民主主義とは「国民の不断の努力によって保つもの」だし、基本的に権利と義務は表裏一体のもの、「自由」と「自律」もセットだと思っているので。
ただ、その精神を実現するシステムが、果たして「裁判員制度」でいいのかどうかは、僕もまだ見解が出来ていませんね。正直、欧米の陪審員制度だって、「数人の素人に裁かれるのなんて怖いシステムなあ」と昔から思ってましたし。
いろんな思いがあります。
この漫画を描きながらいろいろ勉強して、自分なりに見極めて行きたいと思っています。
★★★
なーんて固いことだけじゃなく、単純に、頭脳バトルもの、危ういヒーローものとして、漫画として、面白いものにしたいなと思っております(笑)。
自分は「絵師」と言うより物語作家、あくまで「漫画家」のつもりなんで、ガンダムの時と同じく積極的に話作りに口出させてもらってますが、今回のこの企画は、こりゃどう考えても自分ひとりではムリだ(笑)。操らなきゃいけない予備知識、多過ぎ!(笑) キャラドラマに関してくらいだな、強く言えるのは(笑)。
小学館の編集I氏のプロデュースは素晴らしいし、北原さんの脚本は、この複雑になりがちな話をとても面白く読ませてくださいます。自分に足りないところがよくわかる。勉強になりますわ~。弁護士の今井先生はとても頭が柔らかく、物語作りの感覚を持って相談に乗ってくださいます。(リスクあるでしょうに…(笑)。)
なので、上記の見解を幼稚だと思った方も、ご安心を(笑)。その辺は僕個人の見解であって、「ジキル」に関しては、I編集、北原さん、今井先生の合作だと思っております。そしてこのお3方は、僕と違ってちゃんと大人なんで(笑)。ともすれば暴走しがちな僕を抑えて、ちゃんと社会派作品にしてくださっていると思います(笑)。
みなさんのレベルの高いお仕事を台無しにしないよう、僕もがんばらにゃあかんです。がんばるぞっと。
てなわけで、みなさま、どうか応援、よろしくお願いしまーす。
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コメント
もちろん購入させていただきました。
投稿: usi | 2009年5月13日 (水) 04時53分
ありがとうございます!
広めてくださると嬉しいです(^^)
投稿: TAK@森田 | 2009年5月14日 (木) 10時53分
初めまして。
いつも応援していますよ~。
お仕事頑張ってくださいね!
また遊びにきますね。
投稿: nana | 2009年5月14日 (木) 12時18分
絵がとても上手ですね!
見つけたら即買いします!
投稿: りほ | 2009年5月14日 (木) 18時05分
初めまして。ふとスペリオールを立ち読みしたときから読み始めました。途中から読み始めましたが、先日単行本を購入し、やっと話が繋がりました。
2回目の裁判で1つ疑問があります。飛び降りさせるシーンですが、雨のなか、3階ベランダと地上で会話ができるものでしょうか?絵ではそれほど叫んでいるようにも見えず、聞こえるほどの声だと、他に聞いている人もいそうな気もします。
まだスペリオールでも審議中ですし、さらなるどんでん返しがあるのかもしれませんね。とにかく結末を楽しみにすることにします。
投稿: たくろー | 2009年5月15日 (金) 12時09分
nanaさん>
ありがとうございます。
「ジキル」これからもヨロシクお願いしますねー。
りほさん>
おおっ! 照れるなー。
即買いお願いしますっっっ!
たくろーさん>
ご購入ありがとうございます!
ふたりがお互いギリギリ聞こえるくらいのトーンで静かに会話していたとしたら、逆に、他の人、家の中にいる人などにはますますハッキリは聞こえないかと。(注意を引くような会話じゃないですし、まさに雨が降ってて窓も閉められてる可能性が高いでしょうから)
ただし、計画殺人じゃないですし、目撃者がいてもおかしくない危うい状況だったのは確かだと思います。だから千種もああいう手をうったわけで。
とりあえず結末をお楽しみに~!!
これからもヨロシクお願いします!
投稿: TAK@森田 | 2009年5月15日 (金) 13時10分
森田先生こんにちは!
コメントへのレス有難うございます!
先生がmixiコミュニティを覗いて下さったと言うだけで俄然やる気になっちゃいます!
また、コミックス第1週の発売おめでとうございます!
即買いしました!
難しい、しかも新しい司法制度をベースに描かれている内容ですので大変かとは存じますが頑張って下さい!微力ながら応援させて頂きます!
今後とも宜しくお願い致します!
投稿: テラ@mixiコミュ管理人 | 2009年5月15日 (金) 14時39分
テラさん>
ミクシィのジキルコミュ運営、ありがとうございます!
ちょくちょく覗かせていただきますよー(^^)。
賑わうといいなあ。
今後ともヨロシクお願いします!
投稿: TAK@森田 | 2009年5月16日 (土) 05時03分
こんにちは。昨日、本屋で偶然見かけて、タイトルで買いました。
面白かったです。僕はある大学の法学部で裁判員について勉強してました。その中でとても思ったのが「素人の裁判員なんか職業裁判官の意見に逆らえない。その気になれば裁判官の思い通りにできるんじゃないか?」ということでした。テレビなどであまり取り上げられないこの裁判員制度の危険をとても分かりやすく表現していて、すごく楽しめました。続きを楽しみに待ってます。
投稿: よみました | 2009年5月20日 (水) 20時09分
よみました さん>
お買い上げありがとうございますー。
法学部のお友だちにもお勧めしていただけると嬉しい(笑)。法律監修の弁護士の先生がついてくださっているので、一応ちゃんとしているはず(笑)。(作品の面白さのためにわかってて無視、あるいは簡略化している部分はあります。)
>テレビなどであまり取り上げられないこの裁判員制度の危険をとても分かりやすく表現していて
ありがとうございます。
裁判員制度へのアンチキャンペーンのつもりはないんですが(笑)、どうしてもそんな匂い、出てしまいますねー(笑)。
僕としては否定の立場からも肯定の立場からも決め付けるつもりはなく、(僕自身も含めて)考えるきっかけになればと思っています。
投稿: TAK@森田 | 2009年5月21日 (木) 10時23分
裁判員制度始りましたね。
法律にまったくうとい私にはチンプンカンプンなので、
先生の漫画で頑張って勉強しようと思います!
いつ自分の番が回ってくるかも知れないわけですもんね・・・
投稿: とんぼ | 2009年5月30日 (土) 15時07分
とんぼさん>
書き込みありがとうございますー。
裁判員制度始まりましたね。
この制度に基づいた裁判が実際に始まるのは7月くらい…?
この漫画を入口に、いろいろ興味を持ってもらえると嬉しいです!
投稿: TAK@森田 | 2009年5月30日 (土) 16時01分