●作品の思い出Ⅰ 単行本化作品

過去作品の思い出です。
ここでは単行本化している作品について。
上に行くほど新しい作品です!

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「ジキルとハイドと裁判員」

連載第5作 / 連載中 
(脚本・北原雅紀 法律監修:弁護士 今井秀智)
掲載・ビッグコミック スペリオール2009年1号~連載中 (小学館)

2009年…我々は裁判員となって、互いに裁き、裁かれる!!
決断と駆け引きの異空“裁判員”ワールド、開幕!!!

Jekyllmain_2久々の小学館での作品。ビッグコミック・スペリオールでの連載作になりました。周りが大御所先生方ばかりで怖かった(笑)。

さてこの作品。タイトルにもある通り、2009年から始まった、話題の「裁判員制度」を舞台にしています。

この裁判員制度、賛否両論ありますが(…と言うか、おそらく“否”が多い?(笑))、僕自身もこの制度に対して、肯定的な気持ちと否定的な気持ちが交錯しています。この作品に本気で携わる事によって、僕なりにそこを見極めたい、と言う気持ちもあったりします。僕の持っている「歴史マニア」な部分と通じるのだと思うのですが、こういう社会的なテーマも大好きなのですよね。

と言ってもこの作品、裁判するだけではありません。SF・ファンタジー要素もあったりします。
主人公の裁判官・辺見直留(へんみ じきる)は、ある時、「ハイド」と名乗るバケモノに取り憑かれ、「事実」を記録する「トントン」と会話できるようになります。
人智の粋を尽くした、しかしそれ故に人智の限界の中で人を裁かざるを得ない「裁判」。そこに人智を超えた能力を持った者が紛れ込んだら…。そして、そんな能力を持ってしまった者の苦悩は…?

「機動戦士ガンダム クライマックスU.C. 紡がれし血統」「機動戦士ガンダムZZ外伝ジオンの幻陽」あるいは「怪盗ルパン伝アバンチュリエ」などの僕の作品から入って来てくださった方には、裁判が舞台と言う今作品、もしかしたら違和感があるかもしれません。
でもこの作品、宇宙・SF・歴史・戦闘モノに拘り続けた僕が、その情熱を一時中断してでも是非取り組みたい!と思ったほど、魅力的な題材だったと思います。
そして何より。主人公のジキル君と言うキャラは、自分の中では、「スパイダーマン」「バットマン(ダークナイト)」そして「アルセーヌ・ルパン」などにも通じる、大好きな「ヒーロー物」の一形態だと思ってます。特に時々見える「闇」の描写は、「ジオンの幻陽」のフェアトン、あるいはアルセーヌ・ルパンとも通じるところがあるはず。


全5巻の作品となりましたが、この作品で多くの漫画家の先生方・編集さん達に評価され、それが「アバンチュリエ 新訳アルセーヌ・ルパン」「怪盗ルパン伝アバンチュリエ」に繋がることとなりました。苦労しましたが思い出深い作品です。

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「機動戦士ガンダムZZ外伝 ジオンの幻陽」

連載第4作 / 全6話(+2話) 
(原作・矢立肇/富野 由悠季 シナリオ・中村浩二郎/上石神威 
設定考証・小倉信也 マーキングデザイン・小松原博之
)
掲載・月刊ガンダムエース2007年9月号~2008年2月号 (角川書店)

宇宙世紀0088―「エゥーゴ」と「ティターンズ」の戦いの爪跡が残る地球圏。
その間隙を突き、かつてのジオン公国の残党勢力「アクシズ」のコロニー制圧が始まった!!!

アクシズの艦隊を率いる士官フェアトン・ラーフ・アルギスは独自の戦術・戦略を駆使しコロニーの無血占領やソロモン海戦にて大戦果を挙げる。だがフェアトンには、ジオン再興とは別の、彼の独自の野望があった…
彼の野望、それは、「太陽を掴む」こと!
怪人「フェアトン」の野望を縦軸に、歴史的な視点から見たUC0088(ZZの時代)を横軸に描いた、宇宙世紀を舞台にしたオリジナルストーリー!!!

Gennyou01 僕にとってガンダム二作目となるこの作品。ゲームなどとの連動企画でもなく、映画化などにタイミングを合わせたのでもない、スタッフの方たちとゼロから作ったかなり挑戦的な作品。それだけに、思い入れも尋常じゃないほどあります(笑)。

ガンダム史、そして宇宙世紀史に、がっちりと爪あとを残せた…かな…?

★★★

この作品の目標は、大きく2つありました。

1、フェアトン・ラーフ・アルギスと言うキャラクターを描く事。

「野望溢れる男」と言うキャラクターは、僕がずっと描きたかったものです。また、ヤン・ウェンリーやアルセーヌ・ルパンを例に挙げるまでもなく、僕は「ペテン師」という響きに言いようもなく魅力を感じる(笑)。こんな男を宇宙世紀に降り立たす事ができたなんて、嬉しいやら申し訳ない(?)やら。

また、「太陽を掴む」と言う宇宙世紀でもなお常軌を逸したキャッチコピーと、それを具現化する小倉さんに作っていただいた「ラーフ・システム」と言うギミックを得て、フェアトンと言うキャラクターは自分の関わってきたキャラクターの中でも一際愛しいものになりました。

2、宇宙世紀0088の世界、ZZの世界を、歴史的視点で考察しなおす事。

フィルムではハチャメチャとも見えるZZの世界も、裏設定やファンの考察などを調べると、ちゃんとバックボーンがあったり補完されたりしてるんですよね。「紡がれし血統」の時にもやったことですが、歴史好きとしての自分がフィルムを見て疑問に思った部分を、その裏設定などを押さえて自分なりに俯瞰し再構成してみたかった、と言うのがあります。なんたってZZはZと逆シャアの間の時代であり、ユニコーンにも関わる列記とした宇宙世紀正史なのですから!

…てな感じで作り上げた「ジオンの幻陽」。いかがだったでしょうか。

フェアトンやバーンやインドラメンバーには思い入れがあります。状況が許せばまだまだ続きを描いて、長谷川先生のクロスボーンシリーズのように育てる事ができれば、と思います。

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機動戦士ガンダムクライマックスUC紡がれし血統

「機動戦士ガンダム クライマックスU.C. 紡がれし血統」

連載第3作 / 全10話 (原作・矢立肇/富野 由悠季 シナリオ・中村浩二郎)
掲載・月刊ガンダムエース2006年4月号~2007年1月号 (角川書店)

MS小隊を率いジャブロー攻防戦に参戦した連邦軍カムナ少尉は以後、宇宙世紀の戦乱の時代を戦い抜く。激戦地での仲間との絆が、やがて次の世代に受け継がれる時…。一年戦争、グリプス戦役、第一次・第二次ネオ・ジオン戦争、そしてコスモ・バビロニア建国戦争。ファースト~F91までの40数年間を親子二世代に亘って戦ったある血統の視点から描いた、壮大なサーガ!

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PS2用のゲーム「機動戦士ガンダム CLIMAX U.C. 紡がれし血統」との連動企画です。これは光栄でした! あのガンダムに関われる事になるなんて…。

モビルスーツの作画が大変な上に、この企画自体宇宙世紀全般を扱うので1、2話ごとに舞台が激変。せっかく苦労して勉強したモビルスーツやノーマルスーツが、次の回にはもう使えなくなって泣きそうになりました(笑)。ガンダム漫画初めての僕にはなんとも荷が重く、特に初期は七転八倒しながらやりましたが、皆様の応援のおかげでなんとか良い結果も出せたようですし、今となってはいい思い出です。

また、歴史好き・SF好きの僕にとっては天職のような仕事だったと思います。読んでくださった方の感想の中に、「宇宙世紀を司馬遼太郎が書いたらこんな感じになりそう」と言ってくれたものがあって、とても嬉しかったです。まさにそんな感じを目指しましたから!

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「Clock Clock 時の冒険者」

連載第1作 / 全7話
掲載・コミックGOTTA2001年1月号~2001年7月・最終号 (小学館)
単行本・全1巻

自作飛行機で空を飛ぶことを夢見る少年・不破航は
その処女飛行中に時空を越えてきた美少女・レベッカと遭遇する。
彼女の先生、アインシュタイン博士を捜すため、
そして彼女を守るため、少年はいつしか冒険の旅に…
渾身のタイムトラベル・アドベンチャー!!

Cloclo01 記念すべき連載第一作。なんですけど…

皆さんご存知の通り、コミックGOTTA休刊により、たった半年間、全7話の作品となってしまいました。タイムスリップ冒険モノ、歴史&SF&空、しかもアルセーヌ・ルパンまで出しちゃったりと、僕の好きな「ワクワク」の要素はそろっていたんでここで終わらすのは惜しい。非常に残念でした。

主人公の航くん。描いてるときはちょっといい子ちゃん&さわやか過ぎてちと描きづらいかなーと思ってたんだけど、読み直してみるとやっぱ自分の分身だわ(笑)。濃い!!(笑) アツイというより暑苦しい(笑)。やっぱし愛着あります(親バカ(笑))。

ヒロイン・レベッカについても描ききれなかった部分、残してます。救ってあげれなくて心残り。まあ可能性は少ないでしょうけど、いつか続きを描ければな、と思っております。

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